【管理栄養士のコラム】悪玉菌は腸の番兵?食物繊維で毒素を抑える腸内ケア術

「悪玉菌=腸に悪い菌」と思われがちですが、実は腸内で体外から敵と戦う「番兵」のような存在でもあります。しかし、この悪玉菌が増えすぎると腸内で有害物質や毒素を発生させ、炎症を起こしたり、大腸がんを進行させるリスクを高めることが分かっています。
そこで、注目したいのが食物繊維の働きです。
食物繊維の用語について知りたい方は以下の記事も参照してくださいね。

食物繊維が悪玉菌をおとなしくさせる?
腸内細菌は食物繊維を餌にして活動しますが、これは善玉菌だけでなく悪玉菌も同様です。
しかし、ここが重要なポイント!
悪玉菌は食物繊維を食べることで異常繁殖せず、毒素を発生させにくくなることがわかっています。つまり、食物繊維は悪玉菌を善玉化させる力を持っているのです。
さらに、食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、乳酸菌やビフィズス菌などの有用菌が増えることで腸内環境が整い、悪玉菌の暴走を止めることにもつながります。
潰瘍性大腸炎患者は「水溶性食物繊維」を意識
腸に炎症がある潰瘍性大腸炎の場合、不溶性食物繊維を多くとると腸を刺激しすぎてしまう可能性があります。そのため、腸に優しい水溶性食物繊維を意識的に摂取することがポイントです。
☑おすすめの水溶性食物繊維
・オクラやモロヘイヤ:ねばねば成分が腸を保護してくれます
・わかめやめかぶ:アルギン酸が腸内の炎症を抑えます
・大麦やもち麦:βグルカンが善玉菌の餌となり腸内環境を改善してくれます
管理栄養士からのアドバイス
腸内環境は食事習慣によって大きく左右されます。悪玉菌を抑えるためには、「悪玉菌を減らす」のではなく、善玉菌を優位に保つ腸内バランスを意識することが大切です。
潰瘍性大腸炎の方は特に、腸に負担をかけない水溶性食物繊維を上手に取り入れながら、腸内環境を整える生活を心がけていきましょう。
参考文献 藤田紘一郎「人の命は腸が9割 大切な腸を病気から守る30の方法」ワニブックス出版2013年
中村丁次「栄養の基本がわかる図解辞典」成美堂出版2014年